女性の薄毛の主な原因について
加齢に伴う女性ホルモンの減少
女性は更年期を迎える前後から、髪のボリュームや薄毛が気になることが多いです。女性ホルモンのひとつであるエストロゲンには、髪の成長を持続させ、成長期の髪を増やす役割がありますが、年齢を重ねるにつれて、分泌が少しずつ減っていきます。特に閉経を迎えると、その影響が表れやすくなり、髪の毛が細くなったり、休止期になる毛の割合が増えたりすることで、全体の髪の密度が徐々に減少していきます。


- 成長期:毛母細胞が分裂増殖を繰り返し、毛が成長する時期
- 退行期:毛母細胞の分裂が停止し、毛球が縮んでいく時期
- 休止期:毛球が退化し、毛が抜ける直前までの時期
産後やピル服用中止後の脱毛
妊娠後期になると、女性ホルモンの分泌が増えるため抜け毛が減少します。本来であれば成長期を終えて抜けるはずの髪が、ホルモンの影響で成長期が長引き、退行期へ移行しにくくなるためです。しかし、出産を終えるとホルモンの状態が徐々に通常に戻り、成長期が延長されていた髪が一斉に抜け落ちます。産後の抜け毛は、出産後2か月ごろから始まり、半年ほど続いていきます。また、ピルには女性ホルモンと黄体ホルモンが配合されているため、服用中は抜け毛が抑えられます。ただし、服用をやめたときには、産後の抜け毛に似た形で一時的に抜け毛の増加が見られます。

ヘアアレンジによる脱毛
ポニーテールのように髪を強く結ぶスタイルや、いつも同じ分け目のヘアスタイルを続けると、髪や頭皮に負担がかかります。同じ部分に繰り返し力が加わることで髪が抜けやすくなったり、血行が悪くなったりして髪の成長が妨げられることが原因です。血行が滞ることで、髪に必要な栄養が十分に届きにくくなり、髪が細く弱くなったり、抜けやすくなったりします。こうした状態が続くと、地肌が目立ちやすくなることがあります。

薬剤による脱毛
薬の影響による脱毛には、大きく分けて「休止期脱毛」と「成長期脱毛」があります。
休止期脱毛は、内服薬や注射薬など特定の薬を使用した際に起こります。髪の成長期の期間が短くなり、休止期にある髪の割合が増えることで、抜け毛が増えます。成長期脱毛は、抗がん剤のように細胞分裂を抑える薬を使用したときに見られます。成長期にある髪の毛の毛母細胞が細胞死をおこし、髪が抜け落ちてしまうのです。

皮膚疾患による脱毛
頭皮は毛が多く、さらに皮脂腺や汗腺も豊富なため、体のほかの部分より脂っぽくなりやすいです。そのため、何らかの原因で皮脂の分泌が過剰になったり、皮膚に存在する真菌が皮脂を分解したりすると、脂漏性皮膚炎を発症することがあります。頭皮が脂漏性皮膚炎になると、赤みが出たり、フケが増えたりします。こうした炎症に伴って休止期の毛が抜けやすくなり、結果として抜け毛の量が増加します。

栄養不足や生活習慣による脱毛
髪の毛をつくる細胞は、とても活発に分裂・増殖しているため多くの栄養素を必要とします。そのため、極端なダイエットなどでタンパク質やミネラル、ビタミンが不足すると髪の成長に影響が出て薄毛の原因になります。また、睡眠不足も髪の健康に関わっており、十分な休養がとれない状態が続くと薄毛を引き起こす一因になると考えられています。

男性の薄毛の症状と大きく異なる点
男性の症状と異なる点
男性の薄毛は、髪の太さ(毛髪径)が極端に細くなることが大きく影響します。
一方で、女性の薄毛は、髪の太さがやや細くなることに加えて、髪の本数が減少し、毛髪密度が低下することが主な要因となります。また、男性は髪の伸びるスピードが低下しやすいのに対し、女性はそこまで大きく低下せず、そのため髪の長さが極端に短くなることは少ないとされています。
女性の薄毛には、女性男性型脱毛症や慢性休止期脱毛症など、全体的に髪が薄くなる「びまん性脱毛症」が多く見られます。これらは慢性的に進行し、髪の密度が少しずつ低下していくのが特徴です。また、ホルモンバランスが大きく変化する更年期に発症することが多いとされています。


女性男性型脱毛症は、男性に最も多く見られる男性型脱毛症と似ていますが、その症状は少し異なります。男性では額の生え際がM字に後退したり、頭頂部の髪がすべて抜けてしまったりすることがありますが、女性の場合はそうした極端な変化は少ないのが特徴です。

女性は、髪の毛が少しずつ細くなり、多くの場合、頭頂部の範囲で髪の密度が減少していきます。ただし、生え際が大きく後退することは少なく、保たれることが多いとされています。一方で、慢性休止期脱毛症は、頭部全体の髪が薄くなる女性特有の脱毛症です。

